おしゃべりホットライン

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「学研アニメ声優WEB」と、人気アニメ情報誌「月刊アニメディア」(学研パブリッシング刊)の連動企画! アニメディア11月号「おしゃべりホットライン」掲載のインタビュー別バージョンを“WEB出張版”としてたっぷり紹介します。
アニメディアの記事も、ぜひチェックしてみてくださいね。

第9回 甲斐田ゆき繋がっていくご縁の流れに身を任せて

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――甲斐田さんは、子供の頃からお芝居がお好きだったんですか?

「それが……記憶を辿ってみても、いつお芝居を好きになったのか、いつから志したのかという部分が曖昧なんです。『お芝居が好きなんだな』と自覚したのは高校生くらいだと思います。その頃から自分なりに情報を集めて無料の興行や研究生公演を探しては、お小遣いをやりくりして劇場へ足を運んでいました」

――高校卒業後にアメリカの大学へ進学をされていますが、なぜアメリカに?

「当時は、実技のある演劇学科に進学することしか頭になかったんです。カリキュラムの中に実技がある演劇科の選択肢は日本には多くなくて……「大阪芸術大学も受験したい」と親に言ったら“日本にいる限りは家から通いなさい”という返事が(笑)。アメリカなら演劇学科のある学校はたくさんありますし、もともと母から大学へ入ったら1年留学をするように言われていたこともあって、アメリカへ。学内での実技にこだわらなければ、日本の大学で演劇の理論だけを学んでサークルや劇団活動をしながら、業界にいる先輩との繋がりを見つける事もできたでしょうし、現実的に有意義だというのは後々わかるのですが、当時は世の中の仕組みがよくわからない子供でしたし、周りに業界に詳しい大人もいませんでしたから」

――なるほど。それでアメリカへ。向こうでの暮らしはどうでしたか?

「それはもう面白かったです。所謂演劇学校らしい基礎稽古もあれば、職業演劇人になる為に必要な様々なワークショップ、芸術史のクラスなのにそれぞれが歴史上の人物になりきって会議をするとか……学内で毎年トニー賞のパロディの授賞式をやったり、ちょっと遊んでいるような感覚のクラスもあり、机に座って講義を聞く、という形は必修科目位だったかも知れません。黙っていたら何もできないというアメリカならではの文化は、いい刺激になりました」

――そして、日本へ。

「日本の演劇業界については右も左もわからない状態だったので、雑誌に載っているオーディションに応募する日々を送っていました。でも、早い段階で気づいてしまいまして、お芝居だけではごはんは食べられそうもないなって。誰が見ても文句なしの才能があった訳ではありませんから。抜群の歌唱力も、絶対的な美貌なり美声なりも、超絶ダンステクニックもなかったし。それで、早めに役者は諦めて一般企業に就職すべきかもと考えた事があるんです」

――就職ですか!?

「はい(笑)。実際採用試験を受けまして……重役面接で落ちてしまったんですけどね。と、このタイミングで、企業の不採用の連絡を受けたその日に、以前オーディションを受けた舞台のプロデューサーから“夏休みに子供ミュージカルをやるんだけど出演しませんか?”というお電話をいただいて。その時に、これは神様が“もうちょっと役者を続けてみたら?”って言ってくれているのかもしれないって勝手に考えてしまいました。もちろんアンサンブルのひとりとして、現場でお勉強させて頂くような立場で、ギャラだってバイトするより安かったかも知れません。でも、それでも流れに身を任せてみようと思ったんです。そして、そこから何本かお芝居をして、出会いが出会いを呼び、ご一緒した先輩の役者さんに誘われた舞台がきっかけでナレーションのお仕事をするようになり……。気がつけば、周りが恩人だらけになっていまして。本当にありがたいご縁。皆さんに恩を返したくても、返し尽くせません」

――本当に、見事な繋がりですね。

「私、まだ役者を初めて間もなかった頃、自分のお芝居が結果に繋がらないことに焦っていたんです。後から考えれば積み重ねが大事だとわかるんですけど、当時はただただお芝居が好きで、舞台に片思いをしているみたいな状態だったので、結果が欲しかった。そんな時、若いプロデューサーに言われたんです。“汗水垂らして悲壮な顔しているヤツなんか見たくないよ。舞台が好きっていうことを押しつけるな。そんな形相のヤツを舞台だって愛してくれない”って。その時はすごく落ち込みましたけど、いまこうして自分が好きで入ったこの世界でごはんを食べることができているうえに、お芝居の道に進んだ時には想像もつかないような経験ができているんですから、そりゃもう楽しい。幸せ!」

――素敵な人生ですね。今日の取材では、甲斐田さんの笑顔に癒されました。

「照れるなあ(笑)。じつは、私が役者として細々とごはんを食べられたのは、3つの“え”があるからだと思っています。それは、縁と笑顔と英語。英語は、何かと足りていないし、元々飯の種にするつもりじゃなかったので不本意なんですけどね(笑)。あ、因みにこの“え”は私にとってはというだけで他の方は当てはまらないかもしれませんが、きっと自分が持っている何かしら『小さなスペシャル』みたいな物を少しずつ深めていけたら、ご縁は繋がるんじゃないかと思います」

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